赤ずきんちゃん(Rotkäppchen)をドイツ語で読む 第5回 ~”赤色”を身に付けるのは富裕層の特権~

red hat woman

今回もおかあさんが赤ずきんちゃんに注意します。

前回:赤ずきんちゃん(Rotkäppchen)をドイツ語で読む 第4回 ~子供にうまく注意する方法~

Und wenn du in ihre Stube kommst, so vergiss nicht guten Morgen zu sagen und guck nicht erst in allen Ecken herum!”

“Ich will schon alles richtig machen,” sagte Rotkäppchen zur Mutter, und gab ihr die Hand darauf.

部屋に入ったら、お早うございます、と言うのを忘れちゃだめよ。ご挨拶の前にあちこち覗き込んだりしないでね。」

「よく気をつけるわ。」と赤頭巾はお母さんに言って、約束の握手をしました。

Stube(f.)は「部屋」です。

「vegiss nicht ……+zu 不定詞」で、「……するのを忘れるな」です。

guten Morgen zu sagen(「おはようございます」と言うこと)と、guck nicht erst in allen Ecken herum(部屋に入るなり隅々をきょろきょろ見ないこと)を「忘れるな」というわけです。

確かに、あいさつもせずに部屋の中に入ってこられて、部屋の隅々をきょろきょろ見られたら、あまりいい気持ちはしません。

赤ずきんちゃんは「きっとすべてきちんとやるわ」(Ich will schon alles richtig machen.)と言っておかあさんと握手しました(gab ihr die Hand darauf)。

ところで、どうして赤ずきんちゃんは「赤ずきん」を気に入ったのでしょうか?

それは鮮やかな赤色というのが高級ブランドだったからです。

赤ずきんちゃんの住む国では階級社会が形成され始めていました。

国王、貴族、平民といった身分や、領主、商人、農民といった職業、財産の有無などの「格差」がうまれはじめていました。

服装についても、階級ごとに身につけられるものが決まっていました。

赤や青などの鮮やかな色の服は、たいてい貴族か、あるいはちょっと裕福な中産階級の人々が身につけた。一方、村人が着るような服はほとんどがくすんだ灰色や茶色だった。

大人もぞっとする 初版『グリム童話』p.202

つまり、赤ずきんちゃんはブランド志向だったのです。

思春期にさしかかろうという少女が、一瞬垣間見た貴婦人の被る鮮紅色の帽子に目が釘づけになり、憧れたのは当然といえば当然であった。

おとなもぞっとする初版『グリム童話』p.202

赤ずきんちゃんはお金持ちの家の女の子や貴族の女性が鮮やかな赤い帽子をかぶって颯爽と歩いていたのをどこかで見たのでしょう。

私もあの赤い帽子をかぶってみたい」と強く思ったのでしょう。

次回:赤ずきんちゃん(Rotkäppchen)をドイツ語で読む 第6回 ~ドイツ語の小数~

Viel Spaß - und bis bald!
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